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タケノコ診療所ブログ

こちらはインドネシアにある、日系医療クリニックタケノコ診療所のブログです。
<< メタボリック症候群は 単なるデブとどう違うのか? | main | タケノコ診療所 日本人医療スタッフ募集。 >>
徒手空拳・・・私がインドネシアでしていること。
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     徒手空拳という言葉がある。あるものは 体ひとつ。つかもうとして手を伸ばしても つかめるものは 空気だけ・・・・ある種の孤立無援 ある種の無力感 ドンキホーテ。

     で 私も徒手空拳なのである。体は小さいし 気も弱いし 財布は極小だし こんな私が何か始めるなら もうこれは徒手空拳しかない。

     徒手空拳で何を始めたかといえば・・そう タケノコ診療所を開いたわけだが ここでひそかにはじめたことがあるのである。ひそかに・・なので
    世間の人も気がついていないが じつは結構すごいことをしていたのである。

     何がすごいか・・ああ すごく無いかもしれないが まあ そういうほうがお互いなんか 気持ちがいいというか・・・あ 話がずれているが
    えーと じつはここで インドネシア人の研修医を教え始めたのである。
     JICAの専門家でもないのに 怪しいインドネシア語で まだ卒業したての若い医師たちに 医療の第一歩を教え始めたわけである。

     で 教えることがなんで徒手空拳なのか?といえば

     この若い研修医(ちゃんと医学部出ているし 医師免許はある)

     1 ちゃんと血圧が測れない

     2  点滴の針を刺すこともできない

     3 点滴の種類や 量もわからない

     4 血液検査のデータなど ほとんど見た事がない

     5 胸のレントゲン写真の見方など ぜんぜんわからない

     6 何かといえば 抗生物質を出したがる

      えーと すでに数年の臨床経験があるのに この私でもわかることが
    ほとんどわからない・・というのは 日本で馬鹿にされ続けた私以下・・・
    これはもう 医者としてはどうしようもないレベル・・というか このままでは お互いの不幸になることは明らか・・。

     で私は聞いた「君たちは きちんとした臨床の教育を受けていないように
    見えるが どうか?」
     そもそも 本の知識としては教えられても 実習段階で きちんとした
    教育をするシステムは インドネシアにないか あっても それを受けられるのは ごく一部の医師でしかないことがわかった。

     そこで 君たちに ぼくの知っている知識経験を教えるから 学んでくれるか?と言う話をし 実習を始めたわけである。

     「ぼくの言うことを聞けば いずれぼくのように偉大な医者になれる・・・」と 言いたかったが 診療所を開いたばかりで たんなる変わり者の外人医者にしか見えていないことも考え 真実はいずれわかるから・・と 何も言わなかったのが 私の謙虚過ぎるところだと思うが これは
    読者も同じ意見かもしれない・・。

     で 血圧の測り方 身体所見の取り方 症状から考えられる病気 病気
    の診断と治療方針・・等々・・・私が研修医だったころ 先輩医師に怒鳴られながら教えてもらった知識 経験を 給料を払いながら彼らに伝えてきたのである。

     医師教育は ある種 徒弟制度の中でしかできない。これは 板前さんや
    職人の世界に通じるものがある。包丁の握り方から 親方に習うしかない部分があるということだ。

     そして 3年。研修医の数人は かなりの実力を身につけたと思う。
    時には 私に バカヤローなどと怒鳴られて よく我慢したものだ。

     実力がつくにしたがって 私と病気の診断について議論ができるように
    までなった。彼らは ぼくの宝ものである。タケノコ診療所が つぶれても
    この若い医師たちが インドネシアの医療を支え 変革を起こし・・・。

     しかし 私はきっと あまりにも善意に満ちているので 早死にしてしまい 100年後 やっと私の貢献が認められて 銅像が建つのかもしれない・・とおもうと 徒手空拳もまんざらではない・・・。

     医者というのは そういう物語を信じるものである・・・が・・・
    息子が来て言うのであった・・。
     「パパ・・・どうでもいいけど ビンボーなままだったら パパを残して
    日本にママと帰るから・・」これは きっとママという人物に言わされているに違いないが・・・ふと 現実に戻ってしまう。

      徒手空拳・・夢遥か・・・だが・・診療所は貧乏なまま・・私は幸せになれるのあろうか・・?

      
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